blog  ピアニズムな毎日

2nd Album spannkosmo-pianoを世に出したが故の

スパン子とピアノの関係を綴っていきたいなと思います。。


pluto

6/22 thu  2017


長野、名古屋、大阪とライブをして来て、いよいよ明後日の埼玉がラストのSPANNKOSMO-pluto。

natunatunaのジャケットもどうやら、埼玉にて500枚目が完成しそうである。


この一連のツアーを通して、私にとってキーワードとなるのが、「境界」だった。

生と死の狭間、太陽系とその外の境界。500枚と501枚。

果たしてその界は、国境線のようにくっきりとあるものなのだろうか。

あるような、ないようなものなのではないだろうか。

どちらでもある場所、だからどちらとも言える。違いはないとも言える。

「pluto=冥王星」を想うのである。


ずっとライブをするにあたって、お客さんと演る側の在り方について考えて来たけれど、

ステージというのは日常とは違う場所で、その非日常へ一瞬で連れて行く手段のひとつが音楽だ。

音楽は全部を取り込む。そして全部を音楽にする。いろんな想いも、その日の体調も、グラスを置く音も、子供の声も、お客さんの吐息も、全部だ。
子供はすぐに、音楽の一部になる。
でもそんな子供を大人は静かに、と諌める。
そうならないですむ場でありたい。
参加型ライブなんていうのもあるけど、あれは私はどうも恥ずかしくなってしまう。
自然とそうなるのが良い。
ひとつの空間にいて、全てが、音楽の一端であれば良いなと思う。

そう思って、SPANNKOSMOというライブをやってきた。

Natunatunaの絵で
空に雲がかかっていて、その隙間から星が見える絵があった。
私はそれを見た時、雲の上から地上の明かりを見ている風景かと思った。
あの世から見た風景と、この世から見た風景の両方を描きたかっと彼女は言った。
すごく好きな絵で、
物事というのはそんなものなんでないかなと思う。
表側があれば裏側があるし、光があれば闇が生まれる。
その狭間の、曖昧な、境界とも呼ぶその場所に、とてつもない宇宙空間があって、
だからいつも可能性はどこそこかしこに散らばっているのだと思うのだ。

そんな狭間の無限さを、この500枚に感じるわけで、
私はそんな狭間の無限さの中に、全部を入れて
ライブをしたい、と思うのだ。

SPANNKOSMO-pluto
最終章 埼玉進修館

いよいよ明日!!


ラスト100枚が届きました!!

2017.5.25

 

ラスト100枚がnatunatunaからknotenの活版を経て、

届きました!!

今までもすごかったけど、ラストは本当にすごい。やばい。かっこいい!

 

厳密にいうと、470枚まで完成です。

残り30枚は活版だけが入ったもの。これをこのツアー中に描いていくわけです。

秒読み開始です。

 

今までの軌跡も見て欲しいけれど、やはりこのラストの輝きっぷりを手に取って欲しいです。

 


大阪の会場 SPinniNG MiLL下見と SPANNCOLLOIDリハ

2017.5.23 tue

 

大阪の会場SPinniNG MiLLに下見に行って来ました。

明治時代の紡績工場の事務所だったとか、すごいかっこいいビルでした。

美術協力の垂人くんと打ち合わせ。話のメインはやっぱりこのビルにどんな風に500枚のジャケットを並べるかでした。

計算してみたら、このCDジャケット400枚を、一列に並べたら58メートルになるのです。

というところからの、展示になりそうです!お楽しみに!!!

 

すずの音チームもそうでしたが、垂人くんのぱっぱと浮かんだ構想を構築していく姿、本当に頼りになるあんちゃんです。これがグルーブを生み出すのよね。最高です!

 

 

そして、強烈なギャルバンもとい、婦人バンド、略してフジバン?

colliodとのリハーサルをして来ました。

いつもあまりリハをする時間なく本番を迎えているので、今回は一度合わせようという話に。

まずは集まってお茶会、さすがフジバン。

コーラスがなかなか決まらなかったけれど、演奏の方はバッチリでした。

今回のスパンコロイドは、今まで以上に最強な気がします。

楽しみです!!

 

 


すずの音ホール下見へ行く!

2017.5.10 wed

 

今日は6/4の会場の松川村すずの音ホールに下見に行ってきた。

美術・衣装の園原、舞台監督の大島さん、照明のキムGと。男子勢はなにやら体調がいまいちのようであったが、

話し合いは進み、出てきたキーワードは天の川銀河。タイトルpluto =冥王星の応答のようで、何かが交わった感がした。

4人とも「キタ!」と思ったに違いない。

すごくいい会場になると思うので、楽しみにしていて下さい!

 

ホールでの打ち合わせが終わり、ロビーで引き続き打ち合わせをしていると、学校帰りの小・中学生がちらりほらり。。。と思っていたらあっという間にロビーが満杯になり、宿題をやったり遊んだり、外でもボール遊びが始まり。。。

こんなに地域の子達に利用されるすずの音ホールはこれこそが市の施設!

またここでライブできるのがとっても嬉しくなりました。

松川村は男性長寿日本一です。男性陣は明るくて、無鉄砲です。

 

 

それにしてもSPANNKOSMO@長野、毎度ながら素晴らしいチームだなと思います。

いよいよ始まるぞお!と息巻いたスパン子です。

 

 

 


spannkosmo-piano の布地!!

なんと、natunatunaの描いたジャケット絵をモチーフにした布地が出来上がりました!

一度布にしてみたいと言っていたnatunatuna。実行してしまいましたね!!

 

この布は名古屋のSPANNKOSMOの時に、toi-designが演奏者の衣装を作り、そのまま販売に至る。。。!とか!!

布だけでの切り売りもある。。。。!!とか!!

 

そんなことが噂になっております。

また詳細決まったらここにupしていきたいと思います!!

 

とりあえず、興奮!

ワンピ、可愛いだろうな。ああ、シャツもいいな。ザックっとしたカバンも良いだろな。。。

妄想が進みます!!


遂に500枚へ。SPANNKOSMO-pluto

2017.4.15 sat

 

natunatunaのジャケット制作がいよいよ佳境に入ったようです。

なんていうか、感慨深いです。どう考感慨深いかっていうと、終わる寂しさというよりも、手放す寂しさやら喜びやらに近い。

この感覚知っている、そうだ、ボイジャー2号機が太陽系の惑星探査を終えて、太陽圏を出ていくという話を聞いた時だ。

宇宙へ旅立っていくわけだ。なんていうか、そこに果てしないものが広がっているから、死にゆくものを送り出す時のような、

生きるものの必ず通る旅立ちという宿命のような、そんなものを感じてしまうのだ。

儚さ、愛しさ、切なさ、そして解放感。祝されるべきことである。

というわけで、この500枚記念ライブをすることにした。

私のこの感覚から、SPANNKOSMO - plutoというタイトルで、長野、名古屋、大阪、埼玉の4箇所で、宇宙へ送り出しのセレモニーをしたいと思う。このspannkosmo-pianoというピアノアルバムの通って来た道を踏みしめながらの、旅立ちのライブにしたいと思っている。

 

 

SPANNKOSMO - pluto

時折、太陽系の一番外側の惑星『pluto =冥王星』のことを想う。遠く遠く離れたその場所で、ゆっくりと静かに冷たくそこに居る、冥界の王なるものが、怖いような異様に愛おしいような、そんな気持ちになるのである。地球は太陽の周りを365日で1回まわるのは良く知っているが、太陽に一番近い水星はたった88日で一周するらしく、それに引き換え、冥王星はなんと248年かかるという。私が生まれて死んでもまだ一周しない。今日から248年前、冥王星がちょうど今日と同じ位置から太陽を眺めていたときに生きていた、私の祖先というのはいったい誰なんだろう。そう思うと、冥王星の見て来た景色というのは私の人生の範疇からするとかなり計り知れない。冥王星への怖さ、愛しさ、というのはこの計り知れなさ故なのかもしれない。
natunatunaが遂に、spannkosmo-pianoの手描きCDジャケを500枚描き終える時が来た。500枚、その時のnatunatunaのココロ、その時のnatunatunaの観た景色を1枚1枚描きとめ、CDの入れ物として送り出していた。見事に、慣れることなく、どれも大事な瞬間ばかりだった。500枚を描き上げる時が近づくに連れて、見えてきたものがある。これは終点ではないのだ。そう、寧ろそこに広がっているのは果てしない宇宙である。なんとなく惑星探査機のボイジャーを思い出すのである。natunatuna号はspannkosmo-pianoという太陽系のような惑星集合体の中を飛び回り、知らない景色をたくさん送って来てくれたわけだ。しかしもうこの軌道から出て行く時が来た。最後の太陽系惑星の絵となるだろうと思い、このライブをSPANNKOSMO - pluto と名付けた。もうこれで惑星探査機から景色は送られて来ないのかというとても寂しい気持ちにはなるが、宇宙へ旅立っていくnatunatuna号の背中は勇ましく、潔い。natunatunaありがとう!
 

 


100枚からの旅

9/4 fri

 

 

 

natunatunaが新しいジャケットを作りはじめています。

 

これが今までとまた違って、とてもいいです。

 

こんなに日々、刻々、ちがうんだな、人のこころってって、思います。

そんな演奏をしていきたいって、思います。


グレートなマスターに会う

2015.8.28 sat

 

 

 

センバコレイクショウで野外設置のピアノを貸し出してくれたのが、

 

ピアノハウスさん。

 

http://pianohouse-mito.com/

 

 

 

ライブのあとは片付けもあり、ちゃんと挨拶できなかったので

 

CDを持って改めてピアノハウスへいき

 

野外ピアノ設置を快諾いただいたグレートなマスターに会いにいって参りました!!

 

 

 

ピアノハウス、めっちゃピアノが並んでます。

 

しかもかなりよりすぐった、状態の良いものが並んでいて、

 

そして今はもう製造していない貴重なピアノもたくさんありました。

 

 

 

今から30年前には日本にも35社ものピアノメーカーがあったそうです。

 

Rubinsteinというピアノ社もあるんです。これがまた音が良いのだ!

 

150年前のピアノというのにもあってきました。ドイツのものだったかな。

 

彫刻があしらってあったり、燭台が付いていたりしてかなりごつく、やや悪趣味な。。。

 

鍵盤は勿論象牙で、殆ど剥がれることもなく、しかも音もしっかりしていた。

博物館のようですよ、グレート!

たくさんピアノを見せて頂き、弾きまくり、お話しも聞いて、すっかり堪能。

 

さてそろそろという段になって、グレートなマスターに呼び止められました。

 

「いいものをあげよう。」とマスター。

 

何が出てくるのかと思ったら、マスター自家製の特製ソース!!

 

イカのゲソを焼いて、ソースをかけて、蒸したら絶品なんだそうだ。

 

主成分はタマネギとお酢、添加物一切なし!!

 

をーー、ピアノとは程遠く。。。ゲソ、タマネギ、お酢。。。。

 

さすが水戸、やはり最後は人間力の圧勝でした。。

 

 

 

帰り際に玄関に大量に増えて株分けしてあったクワズイモの鉢植えも一鉢勧められましたが、

 

大町の寒い冬に観葉植物は絶滅する気がしたので、遠慮いたしました。

 

 

 

 

マスター、本当にグレートでした!!ありがとう!!


8/16 という日

2015.8.18 tue

 

一枚目のアルバムは5/16 自分の誕生日に発売しました。

今回もそうしようと思ったんだけど、全然間に合わなくて。。。

それで、母の誕生日の8/16にしたわけです。

 

母が他界してもう15年くらいたつのかな。

哀しみというのはもう空気に溶けてしまったけれど、

時々、彼女からの言葉がもらえないのが残念になる。

喜んだだろうな、とか、驚いただろうな、とか

そんな想像は容易にできるんだけど、実際、何て言うかというリアルな部分は

どんなに頑張っても得られないのだ。

 

死んでしまうって、美しく、どうしようもない。

 

書きたかったのはそんなことではなく、

ジャケットのことにとっても夢中になってしまっていたけれど、

spannkosmo-pianoの音のこと。

natunatunaの手描きジャケットに負けないくらいの代物です。

と書かないと、なにか手描きを話題にして売りさばいているような気持ちになってしまいそうで。

natunatunaすげ〜〜〜〜〜と本当に思うのです。

つまりそれは、それだけこのCDがすごいってことだって、思います。

 

 

 

一曲だけ入ったうた「prism」は

オリオン座の肩の星、ベテルギウスが死んでいくうたです。

最後、超新星爆発して、

宇宙の大きな闇に包まれるようにして

このCDは終ります。

 

わっと思ったらもう一度初めに戻って聴いてみるとよいです。

すると何気ない日常がそこにある。

この世とはそんなものなのではないかなと思うのです。

 


搬入 100枚並びました

2015.8.15 sat

 

natunatunaがはるばる木崎湖畔へやって来ました。

遂に発売です!!

 

Yショップの一角を借りて並べさせて頂きました。

予約の入ったCDも赤い紐を巻いて今日のみ展示します。

100枚並ぶのは今日だけになりました。

さすがに100枚並ぶと、すごい!!!!

本当に素敵です。

natunatuna 素晴らしい!!

 

ネットからも注文できますが、やはり実際見た色味、絵の具の質感、手触り、

全然違います。見に来れる方は是非見にいらしてください。

 

遠方の方、なかなかライブの会場にも来られない方は心を込めてお送りします。

封を開けてから、お楽しみ下さい!

 

 

 

 

 

 


活版にて、文字入れ

2015.8.11 tue

 

本日、活版印刷にてCDジャケットに文字が入りました。

むちゃくちゃ、いいではないか!!

1st albumが発売になり、その記念にやったSPANNKOSMO。これが第一回SPANNKOSMOなのだが、

その時、記念にチケットをコースターにした。そのコースターを活版で作ってくれた岡城さんに

今回も活版をお願いしたのでした。彼女はknotenという名前で活版をやっています。

その仕事は本当にとても丁寧です。それはやりとりの時点からわかるもの。

そして、やっぱり一枚一枚版を押す活版だから、ざらつきとか、かすれとか、そういうその一枚にしかない味を

大切にしてくれる。

 

私は東京に行けなかったので、natunatunaが立ち会いをしてくれました。

インクの色もお任せしましたが、やっぱり素晴らしい選択をしてくれたようです。

活版の作業を写真に撮って送ってもらいましたが、すごい!

 

遂に出来上がりました!!

さあ、あとは盤を中に入れて、16日にまずはYショップにジャケットが並びます!!!

 

 

 

 


natunatuna 91枚描き上がりました。

2015.7.31 fri

 

91枚描き上がりました。とnatunatunaより連絡が来た。

つくばのお店kitchen soyaにて全部並べてみたらしい。

 

以下natunatunaのブログより。

 

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あと9枚で100枚。

スパン子さんの、2ndアルバムの
ジャケットを手描きでつくっております。

描く、というより
つくってます。

自分で言うのもなんですが
やっぱり
印刷では、ちょっと、得られがたい感覚。
絵の具のでこぼこ。
紙肌がやさしい。

数人に見せてみた。
ひとつひとつ原画で
はじめ、手に取るのを、みんなためらう。
汚してしまったら、とか。

でもね
いいの。
人の手で
何度も、あけたり閉めたりして、なじんでいくものをつくってる。
そういうものを、つくりたい。

よくみて、
ほら、線もまがってたり
ボンドもはみでてるかも。
ちょっと破けそうなやつは、こっちもってきて、補強するから。
ぴしっと整列するものには、ちょっと飽き飽きしてる。
そういうのは、他の人に任せようと思う。

すこしすると
みんな、ガシガシさわりはじめる。
自分のお気に入りを探し始める。

その人の
たった一枚になるもの
そうそう
それは、きみの、ものだよ。


一枚で100人をうならせることができないなら
100人のために100枚を描けばいい。
あたしはそう思う。


能率も効率も悪い。
馬鹿にされたりもする。
あきれられたりもする。
食えてない絵描きがすることじゃないかもしれない。

こんな方法じゃなくても
いいものはできるかもしれない。

でも
こんな方法があってもいいよね。
なによりつくっていてワクワクするんだ。
それはかけがえのないもんなんだよ。


○○○
 

CDを作るにあたって、なんで、私は二枚目を作るのか考えていました。
一枚目は単純に、私から出て来たものを形にしたいという欲求からでした。
ライブを重ねる程、私と他者というのものの交わりが大切に思えてきました。
私が出来ることというのは他者との間にある。

2枚目のアルバムは、勿論初期衝動はピアノのアルバムをつくりたいという気持ちからでしたが、
録音を重ねるに連れて、「私の出来ることを込めたい」ということを強く思うようになりました。。

spannkosmo-piano
●二枚目のアルバムのこと より


一枚目は
スパン子さんの宇宙。圧倒的だった。


二枚目は。

音楽というものが
決して一部の音楽家だけのものではないってこと教えてくれている気がする。

あたしが
このアルバムに、色を添えることができるとするなら

それは
この、宇宙が
スパン子さんと、それを手にしたそれぞれの間に広がるもんだということを
形にすることなのかもしれない。

いろんな形があるんだ。
無限だ。


いつでも
ぱかっと、開いて、ほしい。
このCDは置物じゃない。
きみがあける扉だよ。

はじまる、宇宙。どこまでも、広がる。

それは
決して
他人事なんかじゃないんだからね。


あのひとに。

2015.7.30 thu

 

今朝、8/16に発売するピアノCDが届いた。遂に。
嬉しいものだ。なんだか1stの時とは違った歓びだ。思えば1stの時なんて、嬉しさというより、怖い気持ちの方が大きかったかもしれない。自分を人に差し出すような、もう煮るなり焼くなり好きにしてください!的な気持ちだった。
今回は私の宝物を人と分かち合えるような、嬉しさがある。

今日から埼玉泊、3日間東京でライブなので、サンプルを4、5枚もって長野を出た。
途中、息子がトイレに行きたいというので、パーキングで止まって休憩。トイレの側のテーブルに腰掛けて待っていると向こうから歩いて来た男の方とふと目が合った。小沢征爾さんだった。
思わず立ち上がってしまったが、声かけれず、呆然と見送ってしまった。

私の父は音楽が大好きで、父が朝から大音量でかけるレコードを聴いて私は育った。いろんな音楽を聴いていたけれど、大半がクラシックで、ルービンシュタインもブーニンも内田光子もベルリンフィルも武満徹も父の聴く大音量のレコードで聴いた。その中にもちろん小沢征爾さんの振るオケもあった。
父は一度指揮者になりたいと思ったことがあったらしい。意を決して親に告白したが、即却下。長男だったし、家を飛び出してという発想もなく、呑み込んだ想いだった様だ。

そんな父が、私が音大の受験をすると息巻いてみたものの、オーボエでくすぶっていたころに、小沢征爾さんの「ボクの音楽武者修行」という本をくれた。
小沢征爾さんの小さな頃、家にピアノを人力車に乗せて運んだ話から、ヨーロッパの指揮者のコンクールに出ると言って、船でヨーロッパに渡るのだけど、どこかのバイクのメーカーに協賛を得て、バイクの後ろに旗を立てて、広告しながらヨーロッパを廻るという話、指揮者のコンクールで優勝する話、世界の指揮者たちと出会って行く話、どれも破天荒で、もの凄く興奮して、勇気をもらった。
そのころ世の中はレコードからCDに移り変わる時期で、近所のレンタルレコード屋からもレコードが追いやられCDばかりが並ぶようになった。私も部屋にCDとカセットテープの聴ける小さなシステムを導入していて、小沢征爾さんのCDを買って聴きはじめた。いろいろ買い集めたが、一番打ち震えたのはサイトウキネンオーケストラのブラームスの交響曲だった。どのオケとも違うエナジーがある。何か真ん中に皆が共通に持つ柱のようなものがあって、魂がそれに共鳴してぶるぶる震えているような。
くすぶっている私を随分と後押ししてくれたのが小沢征爾さんである。
いつか、生で聴きたいなあと思いながら結局今の今まで一度も生で小沢征爾さんの指揮するオケを聴いたことはない。

松本も遠い場所と思っていたが、数年前から車を走らせれば一時間で付く場所になった。だけれどサイトウキネンのチケットなんて取れないのだ。知り合いに頼んでみたが無理。並んで並んで、並んでも取れるかわからない。。
先日、体調不良のため活動休止のニュースを聴いて、
もう聴くことはできないのかもしれない。。とどこかで諦めていた。

そんな想いが、立ち尽くして呆然とする私の中で渦巻いていた。
息子が駆け込んでいったトイレに小沢さんも入っていき、息子が駆け出して来たトイレから小沢さんは出て来た。もう一度目が合ったので、
「小沢征爾さんですか」
と思いきって話しかけました。
「そうですよ」
とくったくない笑顔、まるでおごりのない仕草、そして強くて真っ直ぐな瞳。
最近の体調のことも少し話してくださいました。結局休まずやっちゃうからだめなんだ、さすがに8月は休めと言われた。9月には振るよというお話しでした。
声は強くて、エネルギーに溢れていました。そのエネルギーが、無邪気で、やさしくて、まっすぐで、やんちゃで。。。私が小沢さんの奏でる音楽からもらったものそのものだった。

絶対、見に行かないかん、本当にまだまだ元気でいてほしい!
こころの底からそう思う。応援する!

頑張ってください。
そう言って別れたのだが、興奮は覚めやらず、うろうろし、そうだ、今朝方できた私のピアノのCDが鞄の中に入っているではないかということを思い出した。
急いで取りに行き、走った。

小沢さんを呼び止め、spannkosmo-pianoを渡しました。
「これは何と読むのですか?」
「スパンコスモです。私スパン子という名前で演奏してます。」
「スパン子さん。。。。?」

何を話したのかあんまり覚えてないけれど、勢いで渡してしまった。
聴いてほしいというか、私の応援届けという気持ちが大きかった。

車に乗って落ち着いたらちょっと怖くなってきてしまった。
世界一流の音楽を生み出している小沢さんに聴かせられるものなのか。
だから改めて聴いてみた。
渡してよかったなと思った。
小沢さん、聴いてくれるといいな。

2nd album のサンプル渡した第一号は小沢征爾さん。
私の心の師に渡すことが出来て、嬉しいです。